Nitta Lab.
研究紹介
research topics

人間の知的活動を支援するシステムを開発するには,知識情報処理やヒューマン・インタフェースなどの基礎技術のほかに,応用分野に関する知識の分析とモデリングが必要です.

新田研究室では,人工知能の基礎,応用研究を中心として,交渉エージェント,エージェントシミュレーション,情報可視化,情報基礎,社会エージェント,地域情報処理などの研究を行なっています.

研究テーマ
具体的に行なっている研究テーマについて説明します.
-伴意関係に基づく弁証法的推論法の形式化とその議論への適用-

伴意関係に基づく弁証法的推論法の形式化とその議論への適用[木藤2009]

数理論理学は推論の正しさだけに基づいて論証の正しさを言及する学問です.一方,日常的に私たちは,結論を信頼するに値する論証のことを正しい論証と呼びます.より正確に言えば,推論が正しく,かつ前提に現れる命題がすべて正しいとき,そしてそのときに限りその論証を正しい論証とみなします.現在,計算機科学の領域において注目されている「議論」は,数理論理学が対象としない命題の正しさ(正確には論理的耐久性)を論理的に評価する手法を提供します.そしてこれに基づいて日常的な意味での論証の正しさを,受理可能性という観点から評価することを可能とする手法と言えます.このような特徴を持つ議論は不完全,不確実,不整合,主観的,分散化,開放系といったマルチエージェント環境が本質的に有する性質の情報下において特に効果的な計算方式です.これに起因して,近年ではマルチエージェントの計算と相互作用の基礎としても議論が注目されています.  本研究では,議論の持つ社会的意思決定あるいは合意形成の手段という側面に注目し,次の2項目を実現しました.第一に,私たちが対立の対処法として行っている協調,譲歩,妥協といった思考の一側面を論理的に定義し,伴意関係で規定される特殊化と一般化に基づいてその推論方法を定式化しました.提案された推論法は推論の前提から演繹されない論理式を導出するという性質を持ちます.第二に,提案した推論法をマルチエージェントの議論に適用し,議論における対立が対話的に解決されることを示しました.言い換えると,議論の開始時には得られない新たな代替案を対話的に生成し議論における対立が解決されることを示しました.

システム全体図

妥協案の発見支援

システム全体図

妥協案の発見支援

-論議と妥協案発見を含めた交渉支援システムの開発-

論議と妥協案発見を含めた交渉支援システムの開発[藤井2009]

交渉の支援を行うシステムの多くは数値的な取引のみを扱っていますが,主張の妥当性への論議やお互いの要求を組み合わせて妥協案を発見することも重要となります.論議では各者の主張の妥当性によってその争点の有利・不利が決まります.本システムではユーザに論争ダイアグラムを作成してもらい,その否定関係から主張の妥当性を計算して各者が得るべき妥当なラインをユーザに示し,公平な交渉を支援します.また妥協案発見の支援として,ユーザ各々の要求条件の組み合わせを列挙し,それらの上下関係を矢印で示し,色と配置でどちらのユーザに有利かを示して表示します.これによりユーザはお互いの要求をうまく満たすような妥協案の発見が行えます.

システム全体図

妥協案の発見支援

システム全体図

妥協案の発見支援

-事例に基づいたオンライン調停支援システム-

新たな紛争解決手段として注目される “調停” をオンライン上で実現し,また調停を行う調停者の教育支援も行う,オンライン調停支援システムを開発しています.

オンライン調停支援システム

調停教育における論争エージェントの開発[前田2006]

オンライン模擬調停を利用すれば,参加者がインターネットを介して模擬調停 に参加することができます.しかし,模擬調停を行うには,参加者を集める必要が あるため頻繁に行うことができません.
 本研究では,調停者・両当事者の3人が揃わなくても模擬調停を行える環境を つくるため,当事者の一方または両方をエージェントとし人間と論争を行う論争 エージェントを開発しました.論争エージェントに,背景知識と過去の論争ログを利 用し現在の論争状況に適した発言を行わせるため,発言生成や発言選択の技法を 提案しました.さらに,論争エージェントには(1)議論の収束性・発散性,(2)利己的・協調的,(3)論理的・非論理的の3つの特性を設定しました.
  実験により,論争エージェントの3つの特性を変えることで多様な論争を行え ることを示しました.

論争エージェントの手続き

-オンラインの対話支援システム-

オンラインの「対話」は相手が見えないだけに,意見が過激になったり,交渉が長引いたりしがちです. われわれは,調停,相談,商品推薦,交渉など,さまざまな対話のシーンにおいて,対話をスムーズに進行させるエージェントの研究をしています.

オンライン調停を行うエージェント [田中2005]

取引上のトラブルの解決方法の1つとして調停があります.調停は双方の意見を聞いて, 双方が納得する解決案を求めるものです. 調停は仲裁と異 なり,論理的に問題を解決するだけではなく,双方が納得するまで話し合いを行うため,感情的な面も考慮する必要があります. ここでは調停事例の データベースを利用し,調停員に次の発言を選択するための判断材料を提供することで,調停を支援するエージェントを開発しています.

オンライン調停エージェント

話者の類似性に基づく会話戦略[上野2006]

認知心理学の分野において,初めて会った人と対話を行う場合,相手がどのような人であるのかという推測をしながら会話を行うといわれています.過去に似たような性格の人との対話経験がある場合には,相手に「何をどのように言えばいいのか」,「何を求めているのか」等といった,相手のニーズを推測するのに役立ち,揉め事につながりうる言動を回避することも多くなります.そこで,本研究では, 人間が感情的になり,円滑なコミュニケーションが困難なケースが多い,「調停」というものに着目し, 複数の他ユーザによるインタラクションの経験から,話者の類似度を利用した会話戦略の獲得を行い,調停者の発言支援を行います.

インタラクション時の学習

-法的推論システム-

「法的推論」とは,裁判官や弁護士が法律問題を解決するときに用いる推論のことです.

たとえば,ある公園に,

「車は進入禁止」

という立て札がかかっていたとします.では,公園内で怪我人が出たとき,救急車は進入できるでしょうか. また,救急車が近道をするために,公園内に進入することはできるでしょうか.

このような問題を解くには,ルールを厳密に適用するだけでは足りません. そのルールの目的や,事件の特殊事情を考えて,ルールの適用範囲をケースバイケースで考えることが必要です. 過去の事例も参考になるかもしれませんし,慣習や世論も考慮する必要があるかもしれません.

法的推論とはこのようにルールの解釈し,問題の妥当な解決を図るための推論です. これをモデル化するには,類似性に基づく推論や,矛盾解消のための推論や,仮説を作り出す推論などを組み合わせる必要があります.

法学教育を支援するシステムの研究 [田中2005]

いよいよスタートしようとしている法科大学院においては,どんな学部の出身者であっても, 3年間という短期間に司法試験の受験レベルの専門家を育てる教育が行われます. 法律の初学者に専門知識を教えるには実戦的な教育が有効であり,中でも模擬裁判は有効な教育方法です. しかし,時間が拘束されるため,教師の負担も大きく,頻繁に開催することは困難です. そこで,ネットワークを使った模擬法廷を裁判官エージェントが監督し,そのエージェントを教師がモニタすることで, 教師の負担を軽くするシステムを開発しています.

判例の構造を利用した判例検索[江越2005]

判例の電子文書化に伴い,目的判例の検索は専門家にとって重要な役割を果たしています. 従来のキーワード検索ではキーワード選択が難しいため,これに代わる,文書を検索質問とする類似判例検索の実現のために, 文書ベクトル手法,及び,判例の特徴を利用した研究を行っています. 内容別に分けられた判例の構造,及び,法的な専 門用語を利用するために,XMLタグによる争点分割と適合性フィードバックを用い て,より法的な判断部分の類似した判例を検索することを目指しています.

判例検索

判例文書の論理構造の表示 [村松2002]

裁判の結論は判決文としてまとめられます. 判決文の中は,原告の請求内容,事実の概要,争点に関する原告と被告の主張,裁判官の判断などが含まれています. 過去の判例は,非常に重要な情報源なので,判例データベースは法律家にとって必須のものです. しかしながら,判決文は非専門家には非常に読みにくく,中に展開されている論理を追跡するには時間がかかります. そこで,判決文の中に〈事実〉,〈理由〉,〈根拠〉などを表すタグを埋め込み,それを利用して, 個々の争点に関する論理の展開を図示するシステムを開発しました.

論争ダイアグラム

電子商取引を法的に支援するエージェントの研究 [中務2000]

インターネットの普及に伴い,近年,ネット上でのショッピングが盛んになってきています. しかしながら,消費者に法律上の知識に乏しいため,取引上の思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も増加してきています. そこで,ネット上の商取引に関して,個々のアクションでどのような法律効果が生じているか, また,トラブル回避のためにどのようなアクションを起こせばよいかを助言するエージェントを開発しました.

電子商取引を法的に支援するエージェント

法的論証生成支援システムの構築 [加藤1997]

ルールの間に優先関係が存在する場合,ある結論が成立するかどうかを証明するために,その結論の論証を求めるだけではなく, その論証に対する反論,その反論に対する再反論...,などを求め,論証の間の優先関係を計算して, その結論の論証が反駁されないことを示すシステムを開発しました.

-マルチモーダルユーザインタフェース-

「マルチモーダル情報処理」とは,画像や音声などの多様な情報を統合的に用いた情報処理をいいます. さきに紹介したMr.Bengoもマルチモーダルインタフェースの一例です.われわれは,人間同士の対話をスムーズに進めるためや,人間とコンピュータの自然な対話を実現するためにマルチモーダル情報処理の技術を用いたヒューマンインタフェースの研究を行っています.

たとえば,弁護士エージェントと検察エージェントと裁判官エージェントによる模擬論争において, それぞれのエージェントの内面状態(論争が有利かどうか)を表情で表現すると,以下のようなMr. Bengoシステムとなります. このシステムは電総研(現,産総研)マルチモーダル対話研究チーム,東大石塚研,北陸先端大(現,東工大)奥村研との共同研究の成果です.

擬人化エージェントの表情戦略 [湯浅2004]

ネットワークを介して交渉を行う場合に,単に条件を相手に提示するだけでなく, 擬人化エージェントの表情を通じて心理状態を相手に伝達した方が交渉が円滑にまとまることがある. たとえば左の図にあるように,匿名の者同士の価格交渉に表情データを用いることによって, 交渉経過がある程度,コントロールできることが観測されている. このような表情の戦略は,取引の交渉だけでなく,損害賠償の交渉や,調停や仲裁や,教育の場面での応用が期待できる.

触覚情報に基づく臨場感のある遠隔コミュニケーションシステムの開発 [陳2009]

本研究はネットワークを介して仮想空間を共有できるシステムの開発を目的とする.オンライン対話システムのインターフェイスを立体化し,ファントムを使って,相手のアバタと直接触れることによって,遠隔臨場感を高める。音声認識機能で,音情報から感情をパラメータ化し,視覚や触覚の提示により,仮想空間を共有するユーザに高臨場感を与えることができる.

ファントムを用いた遠隔コミュニケーションシステム
ファントムを用いた遠隔コミュニケーションシステム
-火災シミュレーション-

火災時の避難シミュレーションによる誘導員の役割と評価[三林2009]

本研究では火災時に起こりうるシナリオを想定し,在館者が誘導員の役割を担う場合の避難シミュレーションを行い,誘導員導入による効果を観察した.対象とする建物は実在の高層棟を参考としており,建物の構造・警報アルゴリズム共に実在のデータを参考にした.火災拡散モデルは煙による在館者への影響なども実装した.避難モデルの実装はSOARSで行った.シミュレーション実験により,誘導員の導入によって生存率・避難時間・煙中行動時間に効果がある事が分かった.

シナリオごとの生存者数・避難時間
煙中行動人数分布
シナリオごとの生存者数・避難時間
煙中行動人数分布
-アドホックコミュニケーション-

アドホックコミュニケーションに基づく口コミ的情報伝播の過程推定[武井2009]

アドホックコミュニケーションは,行動範囲に近いローカルな情報の収集に有効である一方,不要な情報の氾濫を引き起こしうるという問題があるといえます. そこで本研究では,人の接触履歴(同一の場所に存在した記録)と情報伝播現象によって生じた情報感染者のデータを入力とし,情報伝播過程推定のためのヒューマンネットワークを生成する手法を提案しています.生成されたネットワークの分析により,情報伝播の媒介となった人物や情報拡散のきっかけとなった事象の推定が可能となります.

人物間の接触履歴に基づくヒューマンネットワーク
人物間の接触履歴に基づくヒューマンネットワーク

アドホックコミュニケーションによるエージェントコミュニティを用いた情報伝播[槇本2006]

 行動範囲に近いローカルな情報・行動に基づく情報収集には,アドホックな通 信を利用した近隣端末との情報交換がより有効的であると言えます.しかし,転 送方法によっては情報氾濫や伝達力不足の問題や,受信側の不要な情報取得の問 題があります.

 これに対し端末上に送受信代行エージェントを生成し,このエージェントが繰 り返しコミュニケーションを行う事で形成される,人間が所属するコミュニティ とは別の「エージェントコミュニティ」を利用します.伝達条件や状況が変化す る事でどのようにコミュニティが形成されるかを解析し,エージェントコミュニ ティを利用して効果的な情報伝達を行っています.

アドホックコミュニケーションシミュレータ
アドホックコミュニケーションシミュレータ
-RoboCup Soccer Simulation-

動的なマルチエージェント環境における学習,適応[秋山2004]

RoboCupとは, ロボット工学と人工知能の融合,発展のために自律移動ロボットによるサッカーを題材として提唱されたランドマークプロジェクトです. 本研究は,その中でも実機を扱わないシミュレーションリーグを対象としています. プレイヤとして動くエージェントは,不完全でノイズが含まれる知覚情報しか得られません. 更に,コンピュータゲームなどとは異なり,全てのエージェントは異なるプロセスで動作するプログラムであるため, プレイヤは完全に独立して制御されます. われわれは,このような複雑な環境の中で学習・適応を行う手法の研究を行っています. 詳細はSoccer Simulationのページへ.

The RoboCup Soccer Simulator 2D The RoboCup Soccer Simulator 3D

RoboCupサッカーシミュレーションにおけるプレイヤエージェントの動的ポジショニングモデル[長谷川2007]

エージェント間の仮想的な単方向バネを接続したスプリングモデルにより,味方プレイヤの位置を考慮した動的なポジショニングを可能としている.

The Dynamic Positioning Model

Keepawayタスクにおけるマルチエージェントの協調行動の学習[伊佐野2009]

RoboCupのサブタスクであるKeepawayの先行研究では,ボールを持ったエージェントにのみ強化学習を適用して協調行動を獲得していました.本研究では,ボールを持っていないエージェントにも強化学習を適用し,さらにボールを持ったエージェントの報酬関数を修正し,行動選択肢にドリブルを追加しました.この結果,状況に応じて柔軟な行動を選択できるようになり,先行研究と同じ平均キープ時間でタスク継続時間の短い割合が減少しました.

Keepawayの様子
状態変数の取得
Keepawayの様子
状態変数の取得
パサーのドリブルとレシーバの移動
レシーバの報酬関数
パサーのドリブルとレシーバの移動
レシーバの報酬関数
-RoboCup Rescue Simulation-

RoboCup Rescueにおける異種エージェントを考慮したタスク割り当て[上原]

RoboCup Rescue Simulationは,大規模災害にロバストな社会を創ることを目指したプロジェクトであり,マップ上で地震やそれに伴う火災や建物の倒壊がシミュレーションされます.そこでは,被害を最小限にするために各種レスキューエージェントの効率的な働きが求められます.本研究では,消防エージェントにタスクである火災を割り当てる際に,依存関係にある道路啓開エージェントを考慮することで,効率的なタスク割り当てを行うことを目的としています.

レスキューシミュレータ
レスキューシミュレータ
タスク割り当ての概要
タスク割り当ての概要

-投稿論文に基づいた研究動向の変遷の解析と検索支援-

投稿論文に基づいた研究動向の変遷の解析と検索支援[奥岡2009]

本研究では投稿論文に基づいてネットワークを生成することで,学会・ジャーナル及び研究分野の傾向を得るシステムを開発しました.情報系の代表的な4つの学会の文献調査を行い,異なる文献データに対応してネットワークを生成しシステムを利用することで可視化・解析することを可能にしています.システムには2つのネットワークの特徴の差を可視化する差分グラフ,分野関係の詳細表示,検索支援,ネットワークの特徴量,統計情報など解析に役立つ機能を備えています.また,Web上での公開も可能なため,学会のホームページで提供されるようになれば研究者にとって有用なツールになると考えています.

システムのユーザインタフェース
システムのユーザインタフェース
関連詳細マップ
差分グラフ
関連詳細マップ
差分グラフ
-KeyGraphとデータ結晶化を用いた発言ログからのシナリオ抽出支援システム-

分量が多い発言ログの一つである交渉ログに焦点を当て,交渉ログの特徴を利用することにより,議論された話題や話題間の関係性を可視化し,ユーザがログの概要把握を容易に行えるシステムを開発しました.

KeyGraphとデータ結晶化を用いた交渉ログからのシナリオ抽出支援システム[瀬々2008]

電子化された文書には,議事録などのように,複数の参加者が話した言葉をそのままテキストに起こした発言ログがあります.議論では様々な話題が発散的に生まれ,絡み合いながら進行するので,発言ログの論旨は一貫していることが稀であり,議論が長くなればなるほど発言ログの分量は多くなり,人手で読み概要把握を行うことは,非常に時間と労力を要する作業になります.
本研究では,このように分量が多い発言ログの一つである交渉ログに焦点を当て,交渉ログの特徴を利用することにより,議論された話題や話題間の関係性を可視化し,ユーザが発言ログの概要把握を容易に行えるシステムを開発しました.システムでは,交渉ログの事前知識を利用して話題抽出を行い,データ結晶化の技法を用いてユーザが話題間の関係など全体構造をより理解し解釈するきっかけを与えました.また,交渉ログに含まれる話題は階層構造になっているので,解析範囲の切り出しを行う機能を実装し,話題を階層的に解析することを可能にしました.

シナリオ抽出支援システムによるグラフ

これは,解析対象を交渉ログとし,シナリオ抽出支援システムでグラフ表示したものです.解析対象において高頻度で出現した単語を黒ノードで表し,共起度の高い単語同士を黒リンクで結びます.共起度の高い単語集団はクラスタを形成し,クラスタは解析対象に存在する話題を表しています.また,クラスタ間にはデータ結晶化の技法を用いてダミーアイテムを挿入し,ダミーアイテムを赤ノード,ダミーアイテムに付随するリンクを赤の点線で表しています.ダミーアイテムに着目することで,ユーザは話題間の関係など全体構造をより理解し解釈するきっかけを得ることができます.つまり,クラスタに注目すると各話題でどのようなことが出現したか観測でき,ダミーアイテムに注目すると,話題間の関係などについて考えるきっかけを得ることができるので,ユーザはグラフから,解析対象について理解・解釈して考えた仮説(これをシナリオと呼ぶ)を抽出することができます.

-交渉ログからのダイアグラム作成による交渉テキストマイニング-

論争構造を定義するダイアグラムを会話のテキストログから作成するシステムを開発し,そのシステムの結果を用いて,交渉の評価の補助を行う研究をしています.

ダイアグラムによる交渉の解析[三浦2007]

近年,実践的な交渉教育として,実際の事例を用いて模擬の調停を行う模擬調停を行い,それを評価することにより参加者の交渉スキルの向上を図る教育が行われている.
しかし,模擬調停の評価は主に論争のプロセスを評価するものだが,評価は1つの論争を見た審判員同士が話し合って決める方式や,論争のログを読んで複数人が良い論争を投票で決める方式のものであった.
そこで本研究では,論争プロセスの評価のために,論点とリンク,そして論点の出現条件となる単語の共起条件からなる論争ダイアグラムを用いて共通のオントロジ作成を支援し,そこで作成したオントロジを用いて定義した4つの観点から評価をするための情報のマイニングを行う手法を提案した.
そのオントロジ作成ツールを用いたオントロジ作成支援の効果と,論争評価における4つの評価基準の妥当性を評価するために実験を行った.その結果,情報の抽出とオントロジ作成に関する提案手法の有効性の確認と評価基準の妥当性を示した.

論争ログからの解析の流れ

-文献情報に基づく研究分野間のネットワーク-

文献情報に基づく研究分野間のネットワーク分析[清水2007]

本研究では,ジャーナル・学会ごとの分野分布や分野の流行や廃りを見るための分野キーワードをノードとしたネットワークグラフを作成する手法および視覚化するツールを提案している. 文献情報に基づき,研究分野をノードとしたネットワークグラフを作成し,分野間の関係を視覚化する.本研究では付加情報に基づく ネットワークとテキスト情報に基づくネットワークの2種類の分野間ネットワー クを提案しており,開発した視覚化ツール(図)でこれら2種類のネットワークを 視覚化し,分析する.2種類のネットワークのどちらを用いても学会同士の分野 分布についての比較や流行・廃りを知ることができる.視覚化ツールはグラフ同 士の比較や統計情報の出力などの機能を備えている.電子図書館などに応用できれば研究者にとって役立つ情報を与えることができるようになると考えている.

研究分野ネットワークの視覚化の様子
-ボタンデバイスによる授業支援-

ボタンデバイスによる授業支援[北島2009]

高校の授業を対象とし, 特殊な装置を用いず簡易なマウスを利用することで,生徒に授業への参加を促しながら, 生徒の反応を収集し, 集計や一覧表示させて, 授業を支援するシステムを開発した. 実際の授業で使用し,その上で授業の進行を阻害せず, 教師の負荷を増やさないように考慮しつつ, 生徒および教師へのフィードバックも行っている.

データ収集と生徒へのフィードバックによるシステム構成
データ収集と生徒へのフィードバックによるシステム構成
-焼き鈍し補正誤差逆伝播法による自動モデル選択-

焼き鈍し補正誤差逆伝播法による自動モデル選択[関野2009]

本研究では,線形回帰モデルやニューラルネットワークといった階層モデルに対し,補正を加えた対数尤度に基づく学習法について検討する.線形回帰モデルの変数選択において,変数の組み合わせごとにAICを計算する場合,計算量は指数オーダーとなるが,提案する焼き鈍し補正誤差逆伝播法では一度の焼き鈍し最適化によって解を得ることができる.

Boston住宅価格データへの適用
アニーリング
Boston住宅価格データへの適用
アニーリング
-階層モデルの学習アルゴリズムの提案-

本研究では,階層モデルの中間ユニット数が多いときに,従来の学習法で予測性能が低下する仕組みを明らかにし,中間ユニット数の多さに関わらず,予測性能を最大化する学習アルゴリズムを提案します.

Unbiased Likelihood Backpropagation Learning [Sekino et al, 2007]

Unbiased Learning for Hierarchical Models [Sekino et al, 2007]

交差検証誤差逆伝播法によるランク縮小 [関野, 2007]

不偏尤度逆伝播学習 [関野, 2007]

不偏尤度に基づく階層モデルの統計的学習 [関野, 2007]

ニューラルネットや混合分布モデル,HMMといった階層モデルは様々なパターン認識に応用されています.従来の学習法では,階層モデルの中間ユニット数が適切な数よりも多いとき,学習データに適合しすぎて予測性能が悪化する過学習と呼ばれる問題が生じてしまいます.そのため,中間ユニット数を適切に定めることが必要でした. 本研究では,階層モデルの中間ユニット数が多いときに,従来の学習法で予測性能が低下する仕組みを明らかにし,中間ユニット数の多さに関わらず,予測性能を最大化する学習法を提案しています.

不偏化学習
-自己組織化関数近似モデル-

自己組織化関数近似モデル“Self Organizing SiG pseudo kernel Map”[関野2005]

ガウス動径基底関数を用いた局所加重モデルにRBFネットワークとNGnetがある.NGnetは正規化処理により,RBFが存在しない領域への外挿的出力が可能であり,同数の基底関数を用いた場合,RBFネットワークよりも良い近似性能を実現する.これらの局所加重モデルでは,各基底の中心位置,共分散,重みといったパラメータが最適化の対象となるが,モデルの自由度が大きいため推定には多くのサンプルを必要とする.

本研究では,“各基底の分散を近傍基底間距離により設定する”ことでモデルの自由度に拘束を与える新たな局所加重モデルを提案する.まず,固有値−固有ベクトルにより任意の方向に対する拡がりを設定可能な非対称基底関数SiG擬似核を提案する.このSiG擬似核を用いて局所加重モデルSiG擬似核マップを構成する.SiG擬似核マップは,SiG擬似核の中心について近傍関係を結び,各SiG擬似核が有する固有値−固有ベクトルを近傍基底との配置関係により設定する.近傍基底が存在しない方向については固有値−固有ベクトルを設定しないため,正規化処理なしに基底が存在しない領域への外挿的出力が為される.また,近傍基底間の分散についての重複度パラメータに拘束を与えることで,モデルの自由度を制限することができる.外挿的出力とモデル自由度の拘束により,SiG擬似核マップは高い汎化性能を実現することが期待できる.

SiG擬似核マップでは,各基底の分散は近傍基底との配置関係に依存しているため,基底の中心位置の修正は近傍基底の分散にも影響を与える.SiG擬似核マップの最適化手法として,中心位置の逐次修正によりSiG擬似核マップを自己組織的に構成する“Self Organizing SiG pseudo kernel Map (SOSiGmap)”を提案する.

Self Organizing SiG pseudo kernel Map
-小論文の採点支援システム-

答案の自動採点やテキストのハイライト表示により,採点者の労力を軽減できる採点支援システムを開発しています.

SVMを利用した小論文の採点支援システム[村田2007]

 小論文を自動的に評価できるシステムは既にいくつか開発されているが,これらは自由論述形式のエッセイを対象としており,細かい論理性が問われる論述式試験には対応できない.そこで本研究では,論述式試験の大量の答案を,効率的かつ安定的に採点することを目的とした採点支援システムを開発した.
 本システムは自動採点機能を内部に含んだ採点支援システムである.本システムの自動採点では,まず採点済みの少数のサンプル答案から,言語上に現れる複数の特徴量を抽出し,これらをSVMと呼ばれるパターン識別機に学習させることによって残りの大量の答案の評価値を予測する.得られた予測結果はGUI上に表示され,人間の採点者が確認・編集することによって最終的な評価を下す.このように自動採点の後に採点者の目を通すことで採点の信頼性を高めている.このチェック作業においては,各採点項目に関連するテキストやキーワードが画面上 でハイライト表示され,人間の確認・編集作業をサポートする.
 実験により,本システムの自動採点は人間の採点者と同レベルであり,また,本システムの利用が採点時間を短縮できることを確認した.

システムを用いた採点の流れ
-マルチユーザラーニングエージェント(MULA, MULA-C)-

エージェントを取り囲む複数のユーザに対して効率的に適応するMULA(マルチユーザラーニングエージェント)は,これまでにインタラクションを とったことのある相手の中から類似した人のデータを用いて個人に対する適応を効率的に行います.

社会的インタラクションに基づくマルチユーザ学習エージェント(MULA)[片上 2005]

クラスタリングを用いたマルチユーザラーニングエージェント(MULA-C)[大村 2007]

人間の学習と同様に,エージェントが社会的学習を実現するためには,従来のエージェントと人間という二元的な系でのインタラクションではなく,エージェントを取り囲む複数の他者を含めた系でのインタラクションについて考えることが重要であるといえます.つまり,社会的知識や情報は一人の人間とのインタラクションにより創発されるのではなく,複数の人間とのインタラクションにより生まれるものであると私たちは考えています. そこで,複数の他ユーザによるインタラクションの経験から,実際の体験以上の体験を学習者に対して実現するといった社会的学習により効率よく複数ユーザ(集団)に適応するシステム(MULA)の開発しました.また,人間は一般的に多くの情報をある意味のまとまりに分類して頭の中に蓄積 していると考えられています.これをカテゴリ化と呼んでます.この考え方をMULAに追加したMULA-Cを開発しました.MULA-Cは,利用する他のユーザとのインタラクションの経験をカテゴリ化して,さらに効率の良い学習を行います.

MULA
-複数人直接教示によるロボットの適応的行動スキルの抽出と解析-

複数人直接教示によるロボットの適応的行動スキルの抽出と解析[生和2007]

本研究は,複数人の教示によるロボットの行動学習手法の開発を目的とします.同じ目的の従来研究に,複数人教示をセンサ情報の類似性からクラスタリングすることによって,異なる方針の教示方法を分類し,ロボットに記憶させる手法があります.しかし,この研究ではセンサ情報が類似していても,実際のロボットの動作が類似していない場面があることや,教示者とロボットの対話的な教示が困難であるという問題がありました.そこで本研究では,シミュレータWebotsと逐次クラスタリングを用いた対話的な教示手法を提案しました.そして,実験で は本手法を用いることで対話的な教示が実現できることを示しました.

システム概要

実験の様子

システム概要

実験の様子

-複数人教示によるロボットの身体性に基づく最適方策選択-

複数人教示によるロボットの身体性に基づく最適方策選択[小竹2006]

AIBOやPaPeRoのようなロボットが人間の生活圏に徐々に入りつつありま す.そのようなロボットは1人の人間と接するわけではなく,複数人の人間と接 することが考えられ,その場合に人間は学習者(ロボット)に対しある問題に対す る解決方法として様々な方針の教示を与えることが考えられます. これは人間が様々な身体性や個性を持っているため生じる問題であり,1つの目 的に対し複数の方針の教示が与えられることは,従来の手法では方針の競合によ り上手く機能しません. そこで本研究では,その問題点を解決するためにロボットが様々な方針を与えら れる複数人の教示者と接する場合に,方針の競合なく学習できる手法を提案します. また,本手法により複数の方針から自身の身体性に適した方針を選択できることも示します.

複数人教示者からの学習と得られた行動方針
-社会的インタラクションによるHAI-

ユーザのインタラクションの類似性を用いた行動学習システム[大村2004]

人間の学習と同様に,エージェントが社会的学習を実現するためには, 従来のエージェントと人間という二元的な系でのインタラクションではなく, エージェントを取り囲む複数の他者を含めた系でのインタラクションについて考えることが重要であるといえます. つまり,社会的知識や情報は一人の人間とのインタラクションにより創発されるのではなく, 複数の人間とのインタラクションにより生まれるものであると私たちは考えています. 本研究では,複数の他ユーザによるインタラクションの経験から, 実際の体験以上の体験を学習者に対して実現するといった社会的学習により効率よく複数ユーザ(集団)に適応するシステムの構築を目的として研究を行っています.

システム概要図
実験の様子
システム概要図
実験の様子

集団適応エージェントの開発[大村2009]

エージェントの人間の社会への進出に伴い,エージェントが人間社会で活躍するためには集団適応という社会的な考慮が必要である.そのため,人間の社会的スキルに着目し,人間の社会的スキルの一つステレオタイプを用いた「集団内のメンバーへの効率よい適応」(MULA)と,人間の暗黙のルール獲得を分析することで得た知見を用いた「集団内の暗黙のルールへの適応」の2通りの方法で集団適応エージェントを実現した.

MULA(マルチ・ユーザ・ラーニングエージェント)
MULA(マルチ・ユーザ・ラーニングエージェント)
暗黙のルールを学習するエージェント
暗黙のルールを学習するエージェント
-対話型進化ロボティクス-

ユーザの操作情報による自律行動学習システム[片上2003]

近年エージェントやロボットが我々の生活空間で活躍するようになり, それにより環境に存在する人間とのインタラクションを学習に利用するアプローチの研究が多数行われてきています. 特に,アプリオリな知識を持たないロボットや初期段階の試行錯誤のロボットにおいては, 人間からの教示は非常に有効な自律行動の獲得手法であるといえます. しかし,ある程度の自律性を持ったロボットにおいては,人間の教示に常に従う必要はなく, 教示が必要でない時は,人間とのインタラクションにより蓄えられた教示情報を元にして自律的に行動することが良いといえます. このような,人間とロボットのインタラクションを通じて,ロボットの自律性を高める手法が必要となってきています. 本研究では,ロボットが動作する際に人間から適切な行為としての教示情報を受け取って, タスクを解決しうる状態認識・行為ルールの獲得を実現する手法を提案しました. この手法は,対話型進化計算を用いて創発性と多様性の獲得を目指した手法であり, 我々はこのような枠組みを対話型進化ロボティクス(Interactive Evolutionary Robotics (IER) )と呼んでいます.

interface

実験環境

実験インタフェース

実験環境

-地図上の情報推薦システム-

ユーザの投稿情報を用いた経路,行先推薦[山本2004]

地図上で情報を提供するバリアフリーマップのようなシステムでは,情報の鮮度と, 大量の情報の中からいかにしてユーザに適した情報を選択するのかが重要となります. そこでユーザがそれぞれ店や段差などの情報を投稿し,システムがその投稿情報を利用し, ユーザの現在地や嗜好に応じた経路や目的地の情報の推薦を行います.

インタフェース

地理的な投稿情報の信頼度[山本2005]

ユーザから募った投稿を扱うという性質上,さまざまな立場のユーザからの投稿が予想されるため,
その情報の質は玉石混交である.そこで投稿者の投稿傾向や他ユーザからの評価から情報の信頼度を求める手法を提案する.

-投稿情報の検証・表示システム-

災害時の投稿情報の視覚化と検証[清水2006]

災害時においてインターネット掲示板に災害情報が投稿される事があります. これらの情報は,一般に災害発生から情報投稿までの時間が短く災害情報として は非常に有益ですが,局所的で全体像が見えにくく,また信頼性が未知数である ため,取捨選択が困難であると言う問題があります.そこで,投稿情報を地理的 条件を用いて自動的に取捨選択することによる全体像の視覚化と,不確実な情報 の信頼性を検証するシステムを開発しました.

システムのスクリーンショット

-過去の研究-

ウェブベース英単語学習支援システムの提案[朱]

近年,インターネットの普及により,気軽にネットで英語のWeb コンテンツを閲覧することができるようになってきた.しかし,実際の状況では英語学習者にとっていき なりネイティブの新聞記事を読んでも分からない単語が多いため学習者がすぐ挫折感 を覚え,学習を長く続けることできず,途中で学習をやめてしまうケースが非常に多 い.そこで,本研究ではWordMap と呼ばれる新しい概念とそれを用いた英単語学習支 援システムを提案する.提案するシステムではビジュアル化したユーザインタフェー スWordMapによって学習者が容易に知っている語彙の偏りと学習状況を把握できるよ うになり,英単語学習効果と学習モチベーションを上げる.また協調学習を用いた 記事推薦システムにより ユーザにとって学習価値の高いコンテンツを提供する.

ワードマップ
システムの概要
ワードマップ
システムの概要

非単調推論の意味論を比較するための枠組み[柴崎2001]

非単調推論とは,新しい事実が付け加わったときに,以前に成り立っていた知識が成り立たなくなる推論のことです. 今までに,多くの非単調推論の意味論が提案されてきています.また,それらを比較するための枠組みの理論も研究されています. しかしながら,従来の枠組みでは,知識の間に優先関係がある場合には適用することはできませんでした. そこで,従来の枠組みを拡張し,優先関係のある場合にも適用できる枠組みを提案しました.

知識の優先順位に関する仮説生成 [若木1998]

知識の間に矛盾があるとき,知識の間に優先順位をつけて矛盾を解消する必要があります. 制約条件を満たしながら,目的の結論を得るためにどのような知識間の優先順位を付けたらよいかを計算する手法を提案しました.

生物データベースの統合的検索 [徐2003]

インターネットを介して,さまざまな生命データのデータベースにアクセスすることができます. しかし,それらのデータベースを利用するには,専門的な知識を必要としますし,データベース間の連携もよくありません. そこで,生物の知識が十分でなくとも,複数のデータベースを統合的に検索する知識ベースの仕組みを研究しました.

細胞内シグナル伝達ネットワークの構築支援の研究 [井川2002]

細胞は外部からシグナルを受け取ると,さまざまな化学反応が連鎖反応的に生じ,シグナルが伝達していきます. その反応の系列を決定するには,まず,反応系列を予測し,実験により,反応の生成物の濃度変化が予測どおりに生じることを確認します. このようなシグナル伝達モデルの構築を支援するため,データベースを検索して伝達ネットワークを構築する機能と, ネットワークをレイアウトする機能と,化学反応をシミュレーションする機能を持つ,伝達モデル作成支援システムを開発しました.

伝達モデル作成支援システム

確率付文脈自由文法によるRNA2次構造予測 [川村2000]

DNAやタンパク質の配列解析に隠れマルコフモデル(HMM)が有効であることは知られていますが, RNAの2次構造の解析するには表現力が十分ではありません. そこで,確率的文脈自由文法(sCFG)を使って2次構造予測をする手法を開発し,精度の高い予測ができることを示しました.

リンク情報に基づいた流行的話題の予測[大久保2005]

インターネットの多くのページはHTMLを用いて作成されています.しかし,HTMLではタグの種類が限定されているので, 不自由なことが多く,近年は,HTMLの代わりに,タグを自由に定義できるXMLが普及しつつあります. XMLを利用すると,インターネット上の情報をエージェントも利用することができるので, ネット上で知識ベースを共有することもできるようになります. XML文書はいろいろな応用の可能性があります.

本研究は,電子掲示板やblogに置いて,現在注目されている話題を低コストで把握し,近い将来流行するであろう話題の予測を目的としています. そのために,電子掲示板上の投稿中に現れるリンク情報に着目し,同一のリンクがどのように伝搬していくかを調べる事で, リンクが表す話題の流行性を測ります.既知の流行的話題を先の手法で解析し,獲得された知見から,近い将来の流行的話題の予測を行います.

リンク情報の解析

学術論文からのスライド資料の作成 [武市2002]

 われわれは学術論文を書き,それを外部で口頭発表すときには,OHP資料を作成します.  OHP資料を作成するには,論文中から図や表を抽出し,文章を抜き出したり要約したりすることが必要となります.  発表時間に応じて枚数を変えたり,相手に応じて内容を変えたりすることは手間のかかる作業です.  学術論文の多くはLaTeXで清書するため,論文中に文書の論理構造を示すことができるLaTeXのコマンドを使っています.  そこで,このコマンドをベースにして,論文中にその構造を示すタグを付加し,このタグを使って,OHP資料の作成を支援するシステムを研究しました.  下の図は,システムによって与えられた枚数割り当てに応じて,OHP書類の編集をしているところです.

スライド資料作成システム

分析問題の難易度調整支援システム [越智2002]

就職試験などで出題される分析問題(与えられた条件から,成立する性質を導く問題)を作成するには, その問題を解くのに要する時間を見積もる必要があります. この解答時間を調整するため,可能な解の数を計算し,表示するシステムを開発しました.

商品購入を支援する対話型エージェント[長井2005]

DVDレコーダのようなサイクルが短く,専門性の高い商品に対しても,精度の高 い推薦を行えるような商品推薦システムを開発しています.あまり知識を持たな い人でも使えるように,対話型エージェントが知識や情報を教示しながら,要望 を明確化していきます.また,電子掲示板上での相談事例を自動抽出し,利用す ることで,情報の移り変わりの速さに対応し,多様な意見を取り入れた推薦を実 現します.

商品購入支援エージェント

商取引のトラブルの自動相談システム [西原2004]

取引上のトラブルがあっても,裁判まで進むことはまれで,各地の消費者センターなどで相談されることも少なくありません. 消費者センターなどでは,相談の内容に応じて,解決案を助言したり,専門家を紹介したり,場合によっては調停や仲裁を行う可能性もあります. そのような相談員を育てるには時間がかかり,また,近年,相談件数が増大しています. そこで,典型的な問題に関して相談ルールを自動抽出し,相談員がいなくても典型問題に関して相談を行うWebページの生成システムを開発しました.

商取引トラブル自動相談システム

モノポリーにおける交渉戦略 [小口2001]

モノポリーはサイコロを振ってコマを進めるボードゲームの一種です.交渉により,土地の権利書などをうまくそろえた人が大儲けをします. 上級者のゲームでは1つの交渉に数分かかることもめずらしくありません. 上級者のゲームをビデオにとり,それを解析することによって,上級者の交渉戦略を検出しようとしています. また,抽出した戦略の有効性を検証するため,モノポリーサーバを作成し,異なった戦略を持つプログラム同士でゲームができるようにしています.

事例を用いた秘書業務の支援システム [鈴木2001]

オンラインで他の人に連絡を取りたい場合であっても,相手が忙しいときや不在のときには連絡がつかないことがあります. そこで秘書エージェントを使って,伝言を受け付けたり,連絡内容の重要度に応じて取り次ぎを行ったりするシステムを開発しました.

エージェントによる3次元部品構成のモデル生成 [中原2001]

複数の3次元形状のデータにノイズがある場合において,形状の特徴ごとに1つのエージェントを割り当て, エージェント間の交渉によって,形状のクラスタリングをする手法を開発しました.

ゲーム理論を応用した交渉支援システムのエージェント化 [佐藤2000]

交渉において,提案を出すだけでなく,その妥当性の検証を行い,反論や供託や脅しを含めた交渉戦略を提示するシステムを開発しました.

マルチエージェント環境における集団交渉戦略 [増塩2000]

複数エージェントが派閥を作って交渉を行う場合,派閥の大小によってどのような交渉戦略をとるのが最適か, また,個々のメンバーにとって最適な派閥はどのようなサイズか,を強化学習によるエージェントシミュレーションによって決定します.

交渉支援システムにおける意思決定支援機能について [山崎1999]

法律問題に関する交渉を支援するため,判例の検索,判例の多変量解析,AHPによる意思決定支援などの機能を持つシステムを開発しました.

交渉会話の状態遷移モデルに関する研究 [鬼頭1999]

提案と論証(説明,説得)を含む複雑な交渉の状態遷移モデルを提案し,交渉者の戦略により, 交渉がどのように進展するかをエージェントシミュレーションで解析しました.


Nitta Laboratory
Department of Computational Intelligence and Systems Science
Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering
Tokyo Institute of Technology